一緒に暮らしている猫ちゃんの食事はあなたにゆだねられています。ここでは、猫ちゃんが健康で長生きできるよう、食事の与え方の基本について学びましょう。
個体や運動量によっても違いますが、一般的に猫ちゃんが1日に必要なエネルギー量は、成猫の場合には体重1kgに対して約64kcal程度といわれています。
ただし、完全室内飼育や運動量の少ない猫ちゃんなら、体重1kgに対して約52kcal程度を目安にします。もし、肥満気味の猫ちゃんであれば、「おやつ(間食)」を控えたり、低カロリーのフードに替えるなどして摂取カロリーを抑え、逆に妊娠期や授乳期の猫ちゃんには通常の2~4倍のエネルギーが必要になりますので、栄養価の高いものを与えるなど、猫ちゃんの状態に合わせ、食事も変えるようにします。
市販されているフードには、パッケージに給与量が表示されています。正しい給与量を守り、適正体重を維持できるように心がけましょう。
健康な成猫の場合、1日に与える食事の目安は、以下のようになります。
食事と同じように、猫ちゃんにとって飲み水は大変重要です。1日に必要な水分量は、通常、猫ちゃんの体重1kgあたり50mlといわれています。授乳・多尿・下痢・嘔吐・体温の上昇によっては、さらに多くの水分が必要になります。
ドライフードには水分がほとんど含まれていないため、新鮮な水をいつでも飲めるよう用意しておきます。水に、猫ちゃんの唾液やフードのかけらが入ると、雑菌が繁殖しやすくなるので、まだ容器に水が残っていてもこまめに入れ替えましょう。
高齢猫になると(腎臓病などで水分要求量が増えることもありますが)、水分に対しての欲求が少なくなりがちなので、水分量の多いウェットフードを与える割合を増やすなどの対策も考えましょう。
元来、猫は自分で餌を獲って、少量ずつ複数回に分けて食べる習性の動物ですが、家族として人間と共に生活していれば、こうはいきません。
成猫の食事は、朝・晩の2回に分けて与えるとよいでしょう。1日1食の場合には空腹で過ごす時間が長くなるため、食事の際に急いで食べて、食後に吐いたりすることがあります。また、2回に分けた場合も食事と食事の間隔が長いと、体が脂肪をためこみやすくなり肥満の原因になることもありますので注意しましょう。
自分のペースで食事をする猫ちゃんの場合は、自由給与(容器に一定量のフードを入れておき、自由な時間に食べられるようにしておく方法)にしてもよいでしょう。自由給与には、傷みにくいドライフードが適しています。
なお、子猫は、消化機能も未熟なために1度に食べられる量が少ないので、1日の食事回数を増やして与えるようにします。成長とともに必要なエネルギーが増えるので、猫ちゃんの様子を見ながら量と回数を調節していきましょう。
どこの家庭にでもある食材のなかには、猫ちゃんに与えてはいけないもの、与えすぎていけないものがあります。普段から目の届かない場所に置かないように注意が必要です。
塩分の排出が得意ではない猫ちゃんにとって塩分の過剰摂取は、心臓や腎臓疾患の原因となります。人間の食事はどんなに薄味であっても、猫ちゃんにとっては高塩分です。可愛いからといって人間の食べ物を与えるのは止めましょう。
タマネギやニラ、ニンニクなどのネギ類は、それらに含まれるアリルプロピルジスルファイドという成分が猫ちゃんの赤血球を破壊するため、決して与えてはいけません。この物質は加熱しても分解されないので、ハンバーグやシチューなどネギ類の入った加工食品や料理にも注意が必要です。
鶏の骨は縦にとがった状態で割れやすく、のどや消化管を傷つける恐れがあります。
シュウ酸が多く含まれているので、シュウ酸カルシウム尿石症の原因になることがあります。
チョコレートの原料であるカカオに含まれているテオブロミンという成分が中枢神経を刺激し、身体に悪影響を及ぼします。カカオ含有量の多いものほど注意が必要です。
生魚や、イカ・タコ、スルメなどは消化しにくいので、下痢や嘔吐の原因になります。また、イカや貝、カニ、エビなどに含まれているチアミナーゼ(アノイリナーゼ)という酵素は、ビタミンB1を分解するため、食べ過ぎるとビタミンB1欠乏症を発症するおそれがあります。チアミナーゼは加熱すると破壊されるので、加熱した場合は問題ありません。
消化しにくいので、下痢や嘔吐の原因になることがあります。
アビシンという酵素が皮膚炎や成長不良などを引きおこすことがあります。加熱調理すれば問題ありません。
アイスクリームなどの菓子類も、糖尿病や肥満、歯の健康のために与えない方がよいでしょう。
マグネシウムの摂取過剰により、尿路疾患を引きおこすことがあります。
エネルギーに対しビタミンやミネラルが少ないため、成長不良や、代謝不良による肥満を引き起こすことがあります。
ビタミンAや ビタミンDが過剰になり、食欲不振や関節炎を引きおこすことがあります。
猫ちゃんもライフステージにともなって必要なカロリーや栄養素が異なります。フードを切り替える際には、1度に全部を変えてしまうのではなく、今まで食べていたフードに少しずつ新しいフードを混ぜ、1~2週間かけて徐々に切り替えるようにします。
幼猫期…発育に充分な、栄養価の高い食事を与える
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成猫期…健康維持のためバランスのよい食事を与える
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高齢期…食べやすい食事で、健康維持を考慮する
妊娠期…母体の維持と胎子の成長のための栄養価の高い食事が必要
授乳期…授乳する子猫のために、母猫は通常の2~4倍のエネルギーが必要
妊娠期には、胎子の成長にともなって胃が圧迫されるので、1回の食事量が減ってきます。そのため、少量でも栄養価に富んだ食事を与えるとよいでしょう。同じように多くのエネルギーを必要とする授乳期には、母猫が常に食事ができる状態にします。
新しいフードが体質に合わないような時には、すぐに給与を止めます。猫ちゃんの状態によっては獣医師の診察が必要です。また、ケガや病気などによって「療法食」が必要になることもあります。こうした場合にも獣医師の指導のもと、その状態にあったフードを与えてください。
複数の猫ちゃんたちと一緒に暮らしている場合は、各々の食事量を把握することが難しくなります。猫ちゃんの頭数分だけ食事用の器を用意し、特定の猫ちゃんばかりが食べることのないよう注意しましょう。
成猫と子猫が一緒に暮らしている場合には、さらに注意が必要です。成猫と子猫では、フードの質も量も違います。成猫がカロリーの高い子猫用のフードを食べてしまわないように、食事を与える部屋を別にするなどの工夫をしましょう。また、それぞれが食べ残したフードはすぐに片づけましょう。
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